宅建受験生の皆さん、こんにちは!
今回は、2020年宅建受験の方が最も不安と感じる民法改正について解説いたします。
2020年初めて宅建を受験する方は、もちろん、今まで勉強してきた方にとって
有益な情報となっていただけたら幸いです。
Contents
2020年、なぜ民法は改正になるのか?
今回、改正となる民法の主な部分は「債権法」。
私たちの日常生活にも関わってくる多少な契約の基本的なルールが定められていますが、
債権法は1896年以来、約120年間にわって実質的な見直しがされてきていない現状でした。
120年前に定めた規定を現代社会に変わらず適用することはある意味、合理的ではないとされたのではないでしょうか。
によって現代の価値観や様々な社会的な変化に対応するための改正が今回の主な目的とされています。
約120年間の社会経済の変化への対応(実質的なルールの改正)
2017 年(平成 29 年)5月に成立した「民法の一部 を改正する法律」が 2020 年4月1日から施行されます。 民法には契約等に関する最も基本的なルールが定め
られており,この部分は「債権法」などと呼ばれます。
この債権法については 1896 年(明治 29 年)に制定 されてから約 120 年間にわたり実質的な見直しがほと んど行われていませんでした。
今回の改正では,①約 120 年間の社会経済の変化へ の対応を図るために実質的にルールを変更する改正と, ②現在の裁判や取引の実務で通用している基本的な ルールを法律の条文上も明確にし,読み取りやすくする改正を行っています。
契約等に関する基本的なルールに ついて,合計200項目程度の改正をしています
法務省ホームページ より
2020年宅建試験の攻略ポイントは「改正民法」
2020年4月1日から施行される改正民法で今後の宅建試験が厳しくなるとの声があります。
しかし、「ピンチはチャン」スって言葉のように、宅建のヤマバとなる権利関係の出題予想ポイント(改正民法)を押さえておけば、権利関係で高得点を狙うことができるのではないかと思います。
なぜなら、これまで法律の改正点はその年の試験で出題された例が多く、
改正民法の条文から出題される可能性が非常に高いからです。
中でも宅建試験に影響する民法の改正点は宅建試験全体の50問中14問を占める権利関係の
債権法、相続のところ。細かな内容は以下で述べますが、今回の改正によって過去問の回答が変わってくることもありますので、
2020年10月に宅建試験を受験する方は、民法の改正点をしっかり押さえた試験対策をする必要があります。
今まで勉強してきた方は特に新しい法律用語の覚え直しに戸惑うかもしれませんが、
一つずつポイントを掴んで徐々に知識を置き換えていくようにしましょう。
押さえておきたい権利関係の主な改正点
法務省民事局の資料によると、主な改正事項としては
消滅時効、債権譲渡、意思表示、代理、債務不履行、契約解除の要件、売主の瑕疵担保責任、連帯債務弁済(第三者弁済)、危険負担、賃貸借、など
大々的に改正となるため、
今まで宅建の勉強をしてきた方は、
2020年度の民法改正に対応したテキストと問題集で新たに勉強していかなければなりません。
特に試験対策としては法律用語の変更や契約が有効になる条件、時効の消滅期間のような細かなところを確実に押さえておきましょう。
債権譲渡に関する見直し(債権の譲渡制限特約)
宅建試験では譲渡禁止特約が絡んだ問題がよく出題されますが、まず、用語が
「譲渡制限の意思表示」に変更されました。
また、譲渡禁止特約がついている債権善意の第三者と契約が有効になるため、過去問の回答が反対になることがあります。
譲渡制限特約が付されていても、債権譲渡の効力は妨げられない(ただし、預貯金債権は除外)。
弁済の相手方を固定することへの債務者の期待を形を変えて保護 ・債務者は、基本的に譲渡人(元の債権者)に対する弁済等をもって譲受人に対抗することができる(免責される)。 譲受人の保護
・債務者が譲受人から履行の催告を受け、相当の期間内に履行をし ないときは、債務者は、譲受人に対して履行をしなければならない。
・譲渡人が破産したときは、譲受人は、債務者に債権の全額に相当 する金銭を供託するよう請求することができる(譲渡人への弁済は 譲受人に対抗できない)。
時効の消滅期間
時効の「中断・停止」が→「完成猶予」に変更されました。
改正法の内容①
生命・身体の侵害による損害賠償請求権の時効期間
・人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権の時効期間について長期化する特則を新設。【新§167、724-2】
「知った時から5年」(不法行為につき3年から5年に長期化)
「知らなくても20年」(債務不履行につき10年から20年に長期化)
改正法の内容②
不法行為債権に関する長期20年の期間制限の意味
・不法行為債権全般について、不法行為債権に関する長期20年の 制限期間が時効期間であることを明記。【新§724】
瑕疵担保責任
現行の「瑕疵担保責任」が 「契約不適合責任」に変更されます。
また、瑕疵については、隠れたものである必要がないことと、瑕疵を知ったときから1年以内に契約の解除又は損害賠償請求する必要がありましたが、瑕疵を知った買主は契約に不適合したことを「通知」するだけで足りることになりました。
「契約不適合責任の概略」
(1)瑕疵担保責任が契約不適合責任に転換 現行民法では、瑕疵担保責任は前述のとおり法定責任説による解釈がなされていたが、改正民法では、契約の内容に適合しないものであるときの責任(契約責任説)として、債務不履行責任の考えで条文が整理され転換される。
・瑕疵担保責任という概念の廃止
瑕疵担保責任という概念は廃止され、これに替わって改正民法では、目的物が通常有す べき品質・性能を欠いている場合の買主保護のために「種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」の責任(契約不適合責任)という仕組みが取り入れられる。
・隠れたものである必要がないこと
現行民法の瑕疵担保責任は、その対象が「隠れた」ものとされていたが、契約不適合責任では、その対象が隠れたものである必要はなく、買主が発見できなかったかどうかにか かわらず、売主に対して責任を追及することができるようになること。
・買主に請求できる権利内容の増加現行の瑕疵担保責任では、目的物に瑕疵があったときに買主が請求できるのは損害賠償 と契約の目的を達成することができない場合の解除の2つであったが、改正民法の契約不適合責任では、次のように4つの権利を主張することができるようになる。
1 追完請求 (新民法第 562 条第 1 項) 2 代金減額請求 (新民法第563条第1項) 3 損害賠償請求 (新民法第564条) 4 解除 (新民法第 564 条)
https://www.retpc.jp/qualification/fellow/pdf/2019/izumikawa.pdf より
賃借権の存続期間
賃借権の存続期間については、その上限が20年から50年に大幅に変更されました。
宅建試験の権利関係で賃貸借の存続期間が問われる問題が出題されたときは、
改正法に注意して間違いないように覚えておきましょう。
【 改正民法604条 】
・賃貸借の存続期間は、五十年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。
・賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五十年を超えることができない。
2020年版 パーフェクト宅建の分野別過去問題集 (民法改正をわかりやすく!)
2020年宅建試験に影響する改正民法のポイントは? まとめ
120年振りの大々的な改正とは言え、2020年宅建試験に受験する方は焦ることはありません。
独学で合格を目指す方は、予備校で勉強する方に比べ情報入手に戸惑うかもしれませんが、最初は改正民法に対応した教材で十分です。
難しく考えず、ゆっくり一つずつ丁寧に取り組んで合格を目指していってください。
これから2020年宅建試験に対策するためのテキストや講義などもどんどん出てきますのでできるだけ有効活用していきましょう。
2020年、皆さんの宅建合格を心よりお祈りいたします。