みなさん、こんにちは!宅建エンジェルと申します。
今回は、
宅建試験の合格後、取引士として活躍しながらいずれは宅建業者として独立したい!
もしくは、これから宅建免許を取得し、不動産屋を開業をお考えの方のために、
宅建業者として開業するために最初に考えるべきことや免許取得の流れ・必要資金についてお話しさせていただきます。
Contents
宅建業者の開業に必要な知識と経験値
不動産の業務は売主、買主または賃貸人、賃借人、仲介業者、管理会社など、複数の人と関わり一つ一つ契約を完結していくビジネスです。
開業のための資金と免許が取れたとは言え、関わる人々に迷惑がかからないようある程度の経験と知識は必ず必要です。
最低でも不動産業界で3年以上の経験値を積んで一通りの業務ができるようになってからの方が良いでしょう。
免許取得の必要条件
宅建業者として免許を取得するにはまず、
事務所ごとに社員5人1人以上の成年者である専任の宅建士を設置しなければなりません。(案内所には1名以上)
自分で宅建試験に合格して取引士になれば、最初に宅建免許を取得することは可能ですが、事業が拡張し、社員も事務所も増えれば人数に合わせて宅建士を見つける必要があります。
個人免許VS法人免許
宅建業の免許を取得する際には免許の主体を考える必要があります。
個人か法人かを選ぶ前にそれぞれのメリット・デメリットについて見て参りましょう。
個人免許のメリット・デメリット
まず、個人免許のメリットとしては、少ない資金で短時間で免許を取得できる点です。
デメリットとしては、個人免許は相続の対象とならないため、本人の死亡と同時に宅建業の免許も消滅します。
また、個人免許で活動する人の場合、業者というよりブローカーというイメージが強いため、それなりの情報や人脈を確保していないと信頼度が低く、融資に通りにくいので大きな取引に繋がらず、成長しいくいという点です。
長期的にビジネスとして宅建業を営んでいくのであれば、やはり法人として免許を取得する必要があります。
法人免許のメリット・デメリット
日常でよく見かける街の不動産屋の大概が株式会社として成り立てています。
法人のメリットとしては、
- 長期的に成長が見込める
- お客様や取引先・金融機関からの信頼されやすい
- もし、倒産した場合にも、出資額以上の責任は及ばない
- 節税ができる(損益通算ができる)
点などがあります。
しかし、手軽に取得できた個人免許と違ってやはり
取得の際には様々な要件が必要となります。
- 「欠格事由」に該当しないこと
- 「事務所の形態」を整えていること
- 「宅地建物取引士」を設置していること https://www.zennichi.or.jp/practice/introduction/license/ より
また、法人で宅建業者の免許を取得することには、十分な資金が必要となります。
2006年5月から実施された新しい法律である会社法により法人の設立に資本金の規制がなくなりました。
つまり、資本金が1円でも会社を設立することができるようになったと言えますが、
資本金1円の会社としたら果たして信頼されるでしょうか?
せめて100万円以上の資金で法人設立した方が良いでしょう。
それから本店事務所を借りる、必要な場合は司法書士の手数料、免許取得手数料、営業を開始する際の保証金の供託など、様々な初期費用が発生します。
これについては後に述べていきます。
収益の母体を決める
不動産会社を開業するとは言っても、不動産業界には色々な収益構造があります。
私たちに一番親しいのが賃貸屋がありますが、確かに一番参入しやすく、ハードルが低く成功しやすい分野ですね。
その他、会社によってメインの収益とする分野が異なります。
- 新築マンションのディベロッパー
- 戸建て住宅の売買
- 売買の仲介
- 賃貸の仲介
- 賃貸物件の管理会社
まず、ディベロッパーや戸建て住宅の販売をメインにする不動産会社は土地を仕入れてマンションや住宅を建設し、販売するので莫大な資金力が求められます。
新規で不動産業に参入した場合、資金があっても相当な知識と営業力がないと事業の成功は厳しいと言えるでしょう。
それに比べ、仲介がメインの不動産会社は資金がなくても営業力をさえ鍛えれば
レインズ(指定流通機構)で紹介する物件を見つけて手数料をもらい、売り上げを獲得していくことができます。
特に賃貸の仲介は開業が一番簡単で、管理も一緒に行えば管理手数料として毎月家賃の5%から8%ぐらいを収めることができます。
もちろん管理には細かな仕事が多く、大変と感じることもありますが、徐々に信頼を積んでいけば、取引物件の数が増えるにづれ収益も伸ばすことができます。
事務所を借りる
法人として株式会社を設立する際は本店所在地が必要になります。
宅建業者の場合、事務所として住居兼用はダメで、独立性が求められます。
例えば、賃貸メインの不動産屋を開業する場合、人通りが多い駅近の店舗や繁華街の中心に店舗を構えるのが有利になりますが、家賃や初期費用は高くなりがちです。
しかし、今はネットの時代。お部屋探しに特化したサイトに情報を掲載し、SNSなどを上手に利用すれば、必ずしも通行人が多い路店である必要はなくなります。
ビルの中でも大学やオフィス街のような集客が見込める地域を狙って店舗を探すのがおすすめです。
当然ながら、店舗の賃料が高いとその分売り上げを上げて行かなければなりません。
ご自身の資金と、計画した事業規模のバランスをよく考えた上で、最善の場所に不動産屋として店舗を構えてくださいね。
法人の登記・宅建免許の申請
事務所の場所が決まり、賃貸借契約を結んだらそこを本店として法人登記を行います。
株式会社の登記にかかる費用は登記印紙代を含め、約30万円程度。
司法書士に代理で依頼をすれば手数料が約10万円程度かかります。
無事に法人登記が終われば、いよいよ宅建業の免許の申請です。
必要書類を揃えて欠格自由に該当しなければ、約2〜3ヶ月で審査の結果が通知されます。
宅建免許の申し込みは本店事務所がある都道府県庁の宅地建物取引担当課で行うことができます。注意したいことは、申請人、本人が必要書類を揃えて出向かなければなりません。
申請手数料として約3万円が必要となります。
また、免許取得の際にかかる費用として登録免許税が15万円かかります。
営業保証金または弁済業務保証金の供託
いよいよ不動産会社の開業まで後一歩のところです。
無事免許を取得てきたら、今度は営業する前に保険をかけておく必要があります。
宅建業法上、営業保証金または弁済業務保証金制度というのがありますが、
これは、不動産取引の際に何らかのトラプルが発生した際に、お客様に与える損害を防止するために営業を開始する前に一定のお金を保証金として預けておく制度です。
営業保証金と弁済業務保証金はどちらかにお金を預けておけば良く、
その額はそれぞれの事務所ごとに用意しておく必要があります。
営業保証金 | 弁済業務保証金 |
主たる事務所:1000万円
その他の事務所:一ヶ所に 500万円 |
主たる事務所:60万円
その他の事務所:一ヶ所に 30万円 |
新規開業で1000万円の保証金を預けることは厳しかもしれません。
しかし、弁済業務保証金なら主たる事務所の一つで60万円の供託で営業を開始することができます。
ただし、弁済業務保証金を利用する場合は宅建業者を構成員とする保証協会に加入する必要があります。ここで入会費として150万円や年会費として40万円程度の諸費用が発生します。
実際に、少人数で新規参入する不動産会社の多くはこの弁済業務保証金制度を利用しています。
宅建業の開業にかかる費用
事務所契約費用 | 事業用店舗 約200万円 |
法人設立 資本金 | 最低100万円 |
法人登記 | 35万円 |
宅建免許 | 約20万円 |
弁済業務保証金 | 本店60万円(支店30万円) |
保証協会 入会費 | 150万円 |
保証協会 年会費 | 約40万円 |
合計 | 約 635万円 |
不動産屋の特徴として物件の仕入れに直接にお金がかからないという点では、
飲食店など他の事業に比べると開業に必要な費用は割と安いと言えるでしょう。
事務所として構える店舗さえ安く手に入れば、事務所に必要な備品などを揃えるだけで諸経費は多くなりません。
また、営業が上手くいき大きな契約が取れるようになれば短期間で開業資金を賄うことも可能です。
宅建業開業の流れ まとめ
- 収益のメインを決める(事業計画)
- 事務所を借りる
- 株式会社設立(法人登記)
- 宅建免許取得
- 営業保証金または弁済業務保証金の供託
- 営業開始
これまで見てきた通り、まずはどの収益を中心に不動産会社を経営していくか、
しっかり事業計画を立てることが大切です。
また、ネット社会の今、事務所の場所も重要ですが、売りたいまたは貸したい物件情報をいかに魅力的にアピールできるかも収益を上げていく上で重要なポイントとなるでしょう。
不動産は、一つの取引の金額が大きく、個人情報の扱いが多い分、信頼度がとっても重視されるデリケートな分野です。
宅建業者として成功を掴むためには、目先の利益に左右されることなく、
信頼を貯金するという感覚で、取引に関わる皆さんとのWINWINを意識しながらプロとして意識も実力も高めていくことが望ましいと思います。
これから新たに不動産屋を開業を目指す方々の成功をお祈りいたします。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。
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